相続税の基本的な非課税枠は、3000万円になります。それにプラスして、一人当たり600万円が非課税になるというわけです。つまり、一人っ子で自分だけが相続人である場合には、親の継承資産が3600万円以内なら、相続税は発生しないということになります。一般的な家庭では、3600万円も相続財産がないのが普通です。ですから、実のところ相続税というのはお金持ちに対してしか課されない税金なわけです。しかも、年間110万円まで税金がかからない生前贈与を利用すれば、さらに多くの資産があっても税金がかからなくなります。
ですから、税率が高いと言っても、一般の人にはほとんど関係のない話なわけです。むしろ税率が高いということは、格差解消に役立っている可能性すらあります。この3600万円という非課税枠を維持するのが前提であれば、一部の政治家が主張している相続に関する税率のアップも理解できるという人が多いのではないでしょうか。刺激的な発言をする政治家の中には、相続に関する税率を100%にするべきだという人までいます。3600万円の枠がない状態での100%と、枠があった状態での100%では大きく話が違ってきます。
後者なら確かに、格差解消の一案としてはそう悪いものではない可能性があります。お金持ちは様々な抜け道を使って税金を安くできるので、3600万円を超えた分に大きな税率を掛けることはそれほど不公平ではないという意見もあります。